我が国の新しい救急蘇生ガイドライン(JRC-G2015)のオンライン版は昨年秋に公開されましたが、それを踏まえて市民向けの指針を定めた「救急蘇生法の指針2015(市民用)」が総務省消防庁のウェブサイトで公開されました。
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/kyukyu_sosei/sisin2015.pdf
G2010からG2015の主な変更点は以前このブログでもお伝えしたところですが、救命講習等において市民に実際に指導をするにあたってどうするかというのがこの指針で示されるところでもあります。
(G2015についての記事・弊社ブログ)
http://www.tokai99aed.com/wp/2016/01/21/119/
例えば胸骨圧迫については、ガイドラインにおいては「圧迫の深さは6cmを超えないように」との記述がありますが、6cmの判定は非常に困難ですし、上限を定めると市民救助者は恐々と胸骨圧迫を行ってしまい、結果として十分な圧迫が得られないおそれもあります。(かつて「深さ4~5cm」としていたのを「少なくとも5cm」と表記を変更したのもこのような理由です)
そのため、市民用の指針では6cmという上限については言及されないのではないか?とこのブログに以前記載しましたが、やはりそのとおり、「約5cm沈み込むよう強く」という部分しか指針には記載されていません。(6cmを超える過剰な圧迫を防ぐということは、もともとガイドラインでも「弱い推奨」の部類でした)
なお、速さについては1分間に100~120回と上限がそのまま市民用の指針にも記載されています。
人工呼吸を省略できる場合、望ましくない場合もしっかり記載されています。
G2010の指針でも記載はされていましたが、その後「胸骨圧迫のみの心肺蘇生」が普及し、「人工呼吸は一切不要」という誤った認識もその分広まってしまいました。
今回の指針には「窒息や溺水による心停止、子どもの心停止や救急隊が到着するまでに時間がかかる場合などでは、胸骨圧迫と人工呼吸を組み合わせた心肺蘇生を行うことが強く望まれます」との記載があり、正しい認識が世に普及することが望まれます。
以前、突然の心停止時に起きる途切れ途切れの異常な呼吸(死戦期呼吸)を、市民救助者が「息をしている」と誤って判断し、心停止の傷病者に心肺蘇生が行われなかったというケースが問題になりました。
今回の指針では、119番通報をして消防官等の指導(口頭指導)を受けることができる旨が記載されているとともに、「死戦期呼吸」の解説動画を見ることができるQRコードも記載されています。
これら以外にも様々な変更点や改善点等がありますが、細かに記載すると膨大な文量となるので、今回はここまでと致します。
消防機関においては、今年夏頃又は秋頃からG2015対応の講習を開始するようですが、弊社のBLSトレーニングサービスについては、G2015対応の講習をお届けすることが既に可能となっております。
心肺蘇生やAEDの取扱いといった基礎的な部分から、救急隊が到着するまで一連の初動対応まで、警備現場での様々な経験を生かした東海警備の救急救命講習を是非ご受講ください!
(東海警備のBLSトレーニングサービスについてはこちらから)
http://www.tokai99aed.com/training.html
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