先日、総務省消防庁から「平成27年版 救急・救助の現況」が発表されました。
これは全国の救急・救助事案に関するデータを取りまとめた資料で、救急出動や搬送の件数、傷病の程度別件数、行った処置の件数等が約200ページに渡り記載されており、市民による応急手当の件数や応急手当普及啓発講習(消防機関が実施するもの)の受講人数等も記載されています。
平成27年版には、「平成26年中」の全国のデータが記載されていることにご注意ください。
総務省消防庁・報道資料『平成27年版 救急・救助の現況』
http://www.fdma.go.jp/neuter/topics/houdou/h27/12/271222_houdou_2.pdf
ここでは、市民による応急手当等に関連する部分をピックアップしてお話しします。
”救急出動件数、搬送人員ともに過去最多”
救急出動件数 540万5,917人(対前年比+6万9,238件 ・ +1.2%)
搬送人員 540万5,917人(対前年比 +5万9,830件 ・ +1.1%)
救急出動件数や搬送人員は年々増加しています。高齢化による救急要請の増加などもありますが、緊急性のない救急要請(自身で病院に行けるのに救急車を呼ぶ事案など)も少なくありません。
救急車は「具合が悪くなったら呼ぶ」ではなく、「今すぐ医師の治療を受けなければ危ない場合に呼ぶ」ものであることを皆が認識することが望まれます。
”現場到着所要時間等も延伸”
現場到着所要時間 全国平均8.6分(対前年比+0.1分)
病院収容所要時間 全国平均39.4分(対前年比+0.1分)
119番通報を受けてから救急車が現場に到着するまでの時間は年々遅くなっており、平成26年中の全国平均は8.6分となりました。10年前の平成16年が6.4分でしたから、10年間で2分以上も遅くなっています。
また、病院収容までの時間も遅くなっていますが、これは救急救命士が可能な救命処置が多くなり、現場でできる限りの処置をしてから搬送することが多くなっていることも影響しています。
”市民による応急手当や除細動(電気ショック)の実施は増えてはいるが・・・”
心肺機能停止となった方は12万5,951人発生した中で、周りに居合わせた人が迅速に救命処置を行うことによって社会復帰できる可能性が高い「心原性心停止(心臓が原因の心停止)により倒れた瞬間を一般市民が目撃した症例は2万5,255件ありました。
この際に市民が心肺蘇生を実施したのは1万3,015件(51%)、AEDによる除細動(電気ショック)が実施されたのは1,030件(4.0%)であり、前年より実施数は増加したもののまだまだ「助けられたかもしれない命」がたくさん存在しているのです。
AEDのさらなる普及のみならず、市民に対する一次救命処置・心肺蘇生法教育の推進が望まれます。
東海警備が行うAED・一次救命処置(心肺蘇生法)関係講習の詳細はこちら
http://www.tokai99aed.com/training.html
市民による心肺蘇生の実施状況に関する詳細はこちらの画像をご覧ください。(クリックで拡大)
※数値を読む上での注意事項も画像内に記載してありますので必ずお読みください。
本年の情報発信は本日までとなります。
東海警備のAEDを導入・使用頂いた皆様、AED/BLSトレーニングサービスをご利用頂いた皆様、また、このサイトをご覧頂いた皆様、誠にありがとうございました。
来年も我が国における心臓突然死の減少を目指し、AEDや一次救命処置の普及に努めて参ります。
それでは事件・事故のない安全な新年をお迎えください。
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